1日で資産がマイナス1億…DAIBOUCHOU流・投資で生き残るコツ【投資家インタビュー】
株式市場は、長期的に成長し続けているものの、リーマンショックやコロナショックといった株価が暴落する局面が多くあります。なかには、こういった暴落時に焦って行動してしまった投資家もいるのではないでしょうか。
今回は、個人投資家としていくつもの大暴落を経験しながらも生き残ったDAIBOUCHOUさんに、ご自身の経験から学んだ「投資で生き残るコツ」を伺いました。
今回お話を伺ったのは…
投資家デビュー直後に“ITバブル”が崩壊!生き残れた理由は…
ーーどのようなきっかけで投資を始められたのですか?
ネット証券が創設された2000年5月の「金融ビッグバン」のときに株式投資に興味を持ち、PBR1倍割れの割安銘柄がたくさんあったので「これを買えば損をしないのでは?」と考え、投資をスタートしました。
当時の資産額は400万円。そこから少しずつ入金しながら投資を続けていきました。
ウォーレン・バフェットやピーター・リンチ、フィリップ・フィッシャーといったアメリカの投資家の書籍から学びました。近年では、日本国内の書籍やYouTubeなどで知識を得られますが、当時はテクニカル分析の書籍があってもファンダメンタルズ分析について書かれている本は、ほぼありませんでした。
ーー投資家デビュー直後にITバブル崩壊がありましたが、恐怖感はありませんでしたか?
将来的に日経平均株価が8,000円を下回ることを知っていれば、投資をしないという選択をしていたかもしれません。良くも悪くも将来のことはわからないので、そのまま投資していくことになりましたね。
また、ITバブル崩壊で下落した主な銘柄は、ゲームやインターネット関連です。これらのIT銘柄は2000年前後に買われていて、ITバブル崩壊にともなって急激に株価が下がりました。
一方、私が保有していたのは「資産バリュー株」です。資産バリュー株は、ITバブルのときに買われるような銘柄ではなかったので、売られることもなく、大きな下落に巻き込まれることはありませんでした。
保有銘柄が下落しなかったので、私自身、ITバブル崩壊で大きな損をすることなく乗り切れました。さらに会社からの給料で追加投資をした銘柄が値上がりしたことで利益を得ていたぐらいです。
ーーもしIT株を購入していたら、投資家を続けられましたか?
ITバブル崩壊で大きな損失を受けていたら、投資をやめていたはずです。
ただ、当時から「人気がある銘柄を買っても儲からない」という考え方をしていたので、IT銘柄に手を出すことはなかったと思います。そういった銘柄で利益を出し続けられるなら、みんな億万長者になっているはずですから。
ライブドア、リーマン、コロナで大暴落…1日で資産が1億円減った日も
──ITバブル崩壊以外に、どのような暴落を経験されましたか?
ITバブル崩壊以外で印象に残っているのは、ライブドアショックやリーマンショック、コロナショックです。
2004年5月には、資産額が1日に1億円減ったこともありました。その後、2005年12月には資産10億円に到達しましたが、翌年1月の株価急落によって6億円まで資産が減ることになりました。
──そのような損失を受けると、相当なダメージがありそうです。
いずれの損失も直前に得ていた含み益がなくなったという認識なので、精神的なダメージはそこまで大きくありませんでした。
具体的な金額で説明すると、2005年12月だけで5億円ほどの資産増加があり、その含み益が翌月に減ったということです。つまり、資産6億円になる過程で一時的に10億円になっただけという考え方をしていました。
また、資産が10億円になったときに利益確定をするのは不可能だと考えています。このタイミングで決済できるのは神様だけで、ほとんどの投資家が天井(上昇相場の最高値)になる前に売るか、天井から降りてきたところで売ることになります。
──含み益を失っても、悲観的になり過ぎないほうがいいのですね。
私が会社員を辞めたときの資産額は1.5億円で、それからライブドアショック、リーマンショックといった数々の暴落を経験しましたが、結果的に資産は増え続けています。
いろんな暴落で資産が減ったこともありましたが、トータルの投資成績は悪くありません。一部を切り取ると、資産を大きく減らしたタイミングもありますが、全体を見てポジティブに考えていくべきだと思いますね。
暴落時に“株価”よりも見るべき指標とは?
──DAIBOUCHOUさんは、信用取引にもチャレンジされていましたが、そのような中で暴落が起きたときは、どのようにポジションを整理すべきでしょうか?
暴落すると委託保証金維持率が低下し、そのまま放置すると、追証(追加証拠金)が発生する可能性があります。信用建玉を整理するうえで、私は円安や円高からの影響を受けやすい「直撃系銘柄」や、出来高が少ない「バリュー株」を手放すようにしています。
これらの銘柄から整理していく理由は、急落後のリバウンドが狙いにくいからです。
直撃系銘柄は、値動きが不安定になっているものが多いので、買い戻しのタイミングに積極的に買いにいこうとする投資家が少ない傾向があります。そういった意図から直撃系を手放しています。
一方、バリュー株は暴落タイミングであっても売る人が少ない傾向があるので、そもそも株価が下がらないケースが多いです。つまり、リバウンドによる利益が期待できない(保有し続けても利益を狙えない)銘柄を手放し、より利益を狙えそうな銘柄を多く保有できるように調整するわけです。
──暴落が起こってから、なかなか株価が戻らないと不安になってしまいます。こんなとき、DAIBOUCHOUさんはどうやって乗り越えていますか?
暴落時は株価ではなく、保有銘柄のPER(株価÷1株あたりの純利益)やPBR(株価÷1株あたりの純資産)、配当利回りといった指標を見るのがおすすめです。これらの指標を見ながら、その銘柄を保有する理由を明確にしていけば、目先の株価に不安を感じることはなくなるはずです。
加えて、保有銘柄の業績を確認することで「会社としては問題ない。相場が悪いだけ」という安心材料が見つかることもあります。数年後に利益が数倍になることが確信できれば、株価がどのように変化しても気にならなくなるでしょう。
──企業の業績に問題がなくても、ネガティブな経済指標や要人発言があると手放してしまいそうです。
そのような状況では「マクロを見ないこと」をおすすめします。
確かに投資家の期待値を下回る経済指標が発表されたり、国際情勢が悪くなったりすると株価に悪影響を与えることがあります。ただ、これらの事象を正確に予測するのは難しいですし、そのイベントが株式市場にどのような影響を与えるのかはわかりません。
ネガティブなニュースとうまく付き合っていくには、下手に動かずに保有し続けることが大切です。株式投資を長く続けていくと、さまざまな暴落を経験することになります。
大暴落に遭遇したときは株価を見るのではなく、保有銘柄のPERやPBR、業績を確認しながらポートフォリオを整理していきましょう。
インタビュー・執筆
東本 隼之(ひがしもと としゆき)さん
独立系ファイナンシャルプランナーとして金融ジャンルの執筆・編集・監修を担当。税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続分野を得意とし、自身の経験に基づいたライティングを強みとしている。難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えることが得意。
※本記事に掲載されている全ての情報は、2024年10月31日時点の情報に基づきます。
※あくまでもDAIBOUCHOUさん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、資本航道株式会社が取引の勧誘をするものではありません。